名古屋の家庭の味「赤だし」

名古屋の家庭の味「赤だし」
赤だし
赤だし

名古屋では赤味噌(八丁味噌)で作られた味噌汁のことを「赤だし」と呼びます。
「この味噌汁しか飲めないんだ!」という名古屋っ子も多いことでしょう。

「赤だし」≠「味噌汁」

先ほど「味噌汁のことを赤だしと呼びます」と記しましたが…
名古屋人に「赤だしって味噌汁のこと?」と問いかければほとんどの人はYesと言いますが、
「味噌汁って赤だしのこと?」と問うと必ずしもYesとは言いません。

赤味噌(八丁味噌)で作られた味噌汁のみを「赤だし」と呼ぶのであって、
それ以外の味噌で作られた味噌汁は決して「赤だし」とは呼びません。
年配の人ほどこのこだわりは強く、たまーに赤味噌以外で作った味噌汁を「赤だし」と称して出している店がありますが、そんな味噌汁を出した日にはオジサマのお客様から

「こんなもん赤だしじゃにゃーわ(怒)」

と、お叱りを受けることでしょう。
それだけ年季の入った名古屋っ子は赤味噌と赤だしにこだわりがあるのです。

意外に少ない赤味噌(八丁味噌)の塩分

その濃い味から塩分が多く身体に悪いと思われがちな赤味噌(八丁味噌)ですが、
意外や意外。一般的に味噌汁で使われる米味噌・麦みそよりも1割ほど塩分は少なくなっています。
さすがに「甘味噌」と呼ばれるいわゆる「白味噌」よりは塩分は多いですが…。

八丁味噌の持つその豊かな濃い味は塩分の味ではなく原料の大豆が分解されてできるうまみ成分。アミノ酸の味なんです。
大豆と塩のみから作られる八丁味噌だからこそ少ない塩分でもしっかりとした濃い味が作られます。

スーパーに並ぶ様々な赤味噌

名古屋のスーパーの味噌売り場ではこれでもかというぐらい赤味噌(八丁味噌)が並んでいます。
逆に赤味噌以外の味噌を探すのが大変なぐらい赤味噌・赤味噌のオンパレード。

最近家庭で人気なのはダシ成分の入った味噌。
この出汁入り味噌のことをそのものズバリ「赤だし味噌」と呼んだりします。
出汁を取らずそのままお湯に溶けば美味しい赤だしが飲める。この手軽さが人気の秘密です。

先ほども述べたように八丁味噌はほかの味噌汁に使われる味噌より塩分は控えめですが、
さらに塩分を控えたい方には塩分の少ない白味噌とミックスした味噌がおすすめです。

赤だしだけじゃない八丁味噌の使い方

もちろん、他の味噌と同様に八丁味噌もいろいろな料理に使うことができます。

名古屋めしらしく、ソース状にしてトンカツにかけるもよし、味噌煮込みうどんを作るもよし。
キュウリなどの野菜にそのままつけて食べるもよし。

変わった使い方としては中華料理に使う「甜麺醤」の代わりに八丁味噌を使うこともできます。
八丁味噌に味醂を入れれば甜麺醤そのものの感じになります。
昔の中華料理屋は手軽に中華食材が手に入らなかったために、八丁味噌を使用していたと聞きます。
名古屋の老舗中華料理店ではいまだに八丁味噌を使用している店もあるそうです。

今度、名古屋にお越しの際は八丁味噌をご家庭のお土産にいかがですか?
料理のバリエーションが増えること間違いなしですよ。
その時は美味しい「赤だし」も作ってみてくださいね。

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